2017年1月17日火曜日

妖怪・紙しぼり

 バスの車内。ふと気がつくと、後ろの座席で、紙をちぎる音がする。ビリッ、ビリッ。ずっと鳴り響く。いい加減、おかしいと気づくころ、 途中で音がやむ。

 と、こんどはぎゅうううう、と強く握る音(紙をおしぼりにしている)に代わる。そしてやがてまた、ビリビリ、ビリビリ・・。

 ギュウウウウ・・。

 ビリビリビリ・・。

 やむことなく、バスが走行中、延々と続く紙しぼり。どうしても気になって、ふと後ろを振り向いてみると、白髪のおじいさんが、うつむいたまま、鬼気迫る顔でビリビリッ、ビリビリッ。

 
音が車内に、ひたすら不気味に響いている。

 視線に気づいたのか、こちらをじーっと見つめだした。そして、ものすごい笑みで微笑みかけた。

                      
                          (完)

 
 半・フィクションの小話だが、形相やら、視線に気づいて笑いかけたところだけ作り話だが、他は今日起きた本当の出来事である。(恐)