手塚ファンなら観覧必須だろうと思われる。 |
熱狂的ファンなのではないが、家庭環境的に、小さいころから手塚治虫の作品を読んでいた。父が鉄腕アトムの32冊?セット(カッパコミックス)を購入していたが、私が初めて目を通し始めたのは小学校低学年からだっただろうか。
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アトムは、生みの親である天馬博士が事故死した息子・飛雄をよみがえらせたい一心で作り上げた、身代り的な存在として生まれた。 |
その後、火の鳥を読み、父がブラックジャックを買い、さらに兄も七色インコやその他SFものを買い集め、自動的にその漫画を読むことになった。
手塚治虫が好きだから、とかではなく、とにかく子供のころから読んでいたのだが、全部を理解していたかというとあやしいものであり、たしかに場面場面を画像として記憶していたりするのだが、本当に味わって読んでいたかというと、子供だったしかなりあやふやである。
作品全体に生きること、死ぬことについての永遠のテーマが見られるが、考え方の深さを広げる、という意味ではおすすめかもしれない。例えば火の鳥に出てくる「我王」が、てんとう虫に恩返しされつつも疑心暗鬼のせいで殺してしまって、あとから本当のことを知る、という悲しいストーリーや、「牧村」を育てるために、仲間も自身の人間性も捨てて宇宙植物にメタモルフォーゼした女性の悲しい存在感など、子供としては物語の本題とはかけ離れたところしかつかめていなかった感じもするが、いろんなシーンが印象深く残っている。
それをなくす(死ぬ・失う)ことによって、その生命や存在の大切さに気付く、という描写が多いだろうか。だから、物語それぞれになんとなく悲しさや寂しさが感じられることが多いのかもしれない。