2021年5月16日日曜日

ある古い記憶(ネックレス)

本当に小さな子供だった時に、どんなだったかはもう覚えていないが、おもちゃのネックレスを持っていた。

ネックレスを買ってくれるというのはおそらく、母ではなく父だったのではないかと思うが、それはおいておいて、ある晩、多分何気なくだったと思うが、私はそれをつけたまま寝ようとしていたようだった。それを見て、父が注意したのだと思う。

「寝るときに外さないとだめだよ。そのまま寝ると、起きたらパパもママもいない、暗いところまで行ってしまってるかもよ。」

 今になって就寝時にネックレスをして窒息死した、という話を探してもほぼ見当たらないので、おそらく事故にはつながらなかったとは思う。

幼稚園に上がるか上がらないかくらいの、古い古い記憶である。ネックレスをして寝ると、どうして違うところに移動するのか。その前に何かが起きるという説明がなかったが、死んでしまうという説明があれば、それなりに理解できたような気がする。また、就寝中、ネックレスで首が閉まるか、というのも感覚的にピンとはこなかった。なので、本気で父の話を怖がったわけではないのだが、妙に心に残っているのである。

万が一の事故は起きてからだと取り返しがつかないということと、小さな子供に「死ぬ」という説明をするのに、父なりに工夫をして説明してくれたのだろう、と感じた。